睡眠とは?
そもそも睡眠とは?
ヒトや動物は、毎日多くの時間を「睡眠」に費やします。しかしながら、そんな誰にとっても身近な「睡眠」であっても「睡眠とはどんな状態なのか?」と問われると、説明することが難しいでしょう。また、睡眠の時間は意識がないので、睡眠中に頭や身体ではどんなことが起こっているかわかりません。また、昏睡などの意識障害や動物に見られる冬眠などとと毎日の睡眠はどう違うのか?と聞かれても難しいでしょう。このように、睡眠は、毎日体験する身近であるけれどよくわからない生命現象です。
睡眠を定義することは困難ですが、ヒトを含むほ乳類に限定して考えると「内部的な必要から発生する,必ず覚醒可能な意識水準の一時的な低下現象」と定義できるとされています1),2)。「内部的な必要」とは、外傷などによる意識消失とは異なり、睡眠欲求に基づいて生じる現象ということであり、「覚醒可能」「一時的」であることは、脳死や昏睡、冬眠などとは区別されることを表しています。
では、睡眠中の頭や身体ではどんなことが起こっているのでしょうか?睡眠中の頭や身体の様子を検討する方法として、脳波(Electroencephalogram:EEG)と呼ばれる脳活動から生じる電気活動や、筋電(身体を動かすと生じる微弱な電気活動)を同時に捉える睡眠ポリグラフ検査(Polysomnography:
PSG)があります(図1)。
図1 PSGと睡眠中の脳波変化の簡易図(文献3)を参考に作成)
PSGにより睡眠中の脳波を検討するといくつか興味深いことがわかります。一つは、睡眠中は覚醒時の活動とは異なり明らかに緩やかな活動になるものの、意識がないからといって脳の活動が止まってしまうわけではないということです。また、時間経過とともに脳の活動が緩やかになっていくだけでなく、時間経過に応じて睡眠に特徴的な脳波(紡錘波やK-complexなどがあります)が生じることがわかりました。そして、脳の活動は時間経過とともに一方向的に緩やかになっていく訳ではなく「緩やか→活発→緩やか…」を繰り返しながら進んでいくことなどもわかりました。
図2は、時間経過とともに変化する脳の活動(脳波の状態)を示しています。睡眠中の脳波の状態と眼球運動の状態から睡眠は5段階に分類されます。脳波は眠りに入ってからだんだんと緩やかになっていきます。その後、まただんだんと活発な脳波が現れてきます。その後、眠ってすぐと同じくらいの比較的活発な脳波が現れ、その時に目きょろきょろ動く時間があります。こうした眼球運動をともなう睡眠のことをREM睡眠(REM:Rapid Eye Movement 急速眼球運動)といい、これに対して眼球運動を伴わない睡眠のことをNREM睡眠(Non-REM:急速眼球運動のない睡眠)と言います。平均すると約90分(標準偏差20分くらいと大きく個人差があります)の周期で、睡眠は緩やか→活発→緩やか…を繰り返しながら進んでいき、睡眠の前半はいわゆる深い眠りが生じますが、後半になるといわゆる浅い眠りの割合が増えてきて覚醒します。
図2 ヒトの睡眠段階の簡易図(文献4)を参考に作成) 黒の線の部分がNREM睡眠、赤い線の部分がREM睡眠
睡眠という現象は何のためにあるのか?(注1)
ヒトは睡眠に毎日多くの時間を費やしています。では、睡眠という現象は何のためにあるのでしょうか?もし眠らない時間が続いてしまうとどんなことが起きるでしょうか?
頭も身体も疲れてしまって、物事に集中できなくなったり、身体に力が入らないことが想像できるでしょう。
確かに睡眠は日中使った頭や体を休めてくれる昨日があります。特にNREM睡眠のいわゆる深い眠り(徐波睡眠と呼ばれる睡眠)の時間には、頭の活動が緩やかになり、手足などの末梢の皮膚温が高まり、熱放散が起こることで、深部体温が低下することが知られています。こうすることで、日中エネルギーを使ってヒートアップした脳をクールダウンさせることによって脳を回復させていると考えられています(パソコンをずっと使っていると熱くなってきてファンが熱を逃がすのに似ていますね)。またNREM睡眠の時間には、副交感神経が優位になり、内臓活動や代謝要求が減少して恒常性に基づく生理的な調整が行われます。このことから睡眠、特にNREM睡眠は休息・回復のためにあるとも考えられます。一方、REM睡眠については脳波も覚醒状態に近く、自律神経活動が大きく変化することからその意義について謎が多いとされています。しかし近年少しずつREM睡眠の機能が明らかになってきました。REM睡眠はNREM睡眠の徐波を強めたり、脳内の物質交換が盛んに行われている時間である可能性があります。そのためREMは休息・回復の準備状態を作ったり、脳や身体をリフレッシュさせる時間であるかもしれません。
このように頭や身体の休息・回復・リフレッシュに重要な睡眠ですが、近年の研究では、睡眠には「心身の機能の回復」以上にさまざまな意義があることがわかっています。例えば、睡眠は、記憶の固定に関連していることが報告されており、特にREM睡眠とNREM睡眠の徐派睡眠は、特に記憶の固定や整理(シナプスの刈り込み)に影響していると考えられています5)。また、睡眠は実行機能の発達を支えていたり、神経系・免疫系・内分泌系といった恒常性維持のための情報系を整えてくれることなどがわかってきています。このほかにもたくさんの意義があることが知られています。
つまり、睡眠は疲れた頭や身体を休めてくれるための生命活動であるだけでなく、むしろ「積極的に」生きることを支えてくれる時間であると言えます。覚醒が電源ONの時間、睡眠が電源OFFの時間ではなく、ヒトは覚醒モードと睡眠モードという2つの活動モードを切り替えながら生きていると言えるでしょう。
注1) 科学的な知見、つまり実証研究に基づき得られた経験は「なぜ(Why?)」や「何のために(What
for?)」に直接答えてくれるものではありません。ここでの説明は、科学的知見をまとめた上でこういう
ことのためにあると”考えられる(考えてみると理解しやすかったり、一般の方が理解をしやすい)”とい
うことで書いています。
「よい睡眠(GOOD SLEEP:ぐっすり)」とは?
では、このような睡眠の恩恵を最大限に生かすためには、どのような睡眠をとればよいのでしょうか?睡眠の良し悪しには、睡眠の「量(Sleep Duration)」「質(Sleep Quality)」「位相(Sleep Phase)」の3側面が関わっています。
よい睡眠の「量」とは、「本人にとって必要な睡眠時間を確保している」ということです。
必要な睡眠時間には、個人差があります。また、質やタイミングの悪い睡眠の場合には、必要な睡眠時間は長くなります。そして、発達段階によって必要な睡眠時間は大きく異なるということが知られています。図3は、制約のない条件下で自由に眠ったときの自然な睡眠時間の発達的変化を示しています。生まれたばかりの赤ちゃんは一日の半分以上を眠って過ごしますが、高齢者になると一日の1/4程度の睡眠時間で十分になります。先に述べたように、睡眠には記憶の固定や整理に重要な役割を果たしています。見るもの触るものが初めての事だらけの赤ちゃんは、経験したことを記憶に定着させ、適応様式を拡大していく必要があります。小さな子どもの睡眠時間が長い理由は、日中多くのことを全身で経験し、それを定着させるために長い睡眠時間が必要になるからであると考えられるかもしれません(注1)
図3 起床制約のない条件下での睡眠時間の発達的変化(文献6)を参考に作成)濃い青部分はREM睡眠、
淡い青部分はNREM睡眠
こうした睡眠習慣の観察研究や睡眠時間と健康との関連に関する様々な基礎研究を踏まえ、2015年には、米国睡眠財団(National Sleep Foundation)が各発達段階における推奨睡眠時間(図4)7)を発表しており、2016年には、米国睡眠医学会(American Academy of Sleep Medicine)が0歳から18歳までの推奨睡眠時間を発表しています8)。
図4 各発達段階における推奨睡眠時間(文献7)を参考に作成) 濃い青部分は推奨睡眠時間、
淡い青部分は、許容睡眠時間
「よい睡眠の質」とは、「睡眠が妨害されず、自然な睡眠構造を構築できており(客観的睡眠の質)、睡眠による回復感がある(主観的睡眠の質)」ということです。
後述の通り、ヒトの睡眠は、眠気と覚醒という二つの変数のバランスによって起こります。入眠時に眠気が十分に高まっていなかったり、睡眠時に騒音や乾燥、光刺激といった眠りを妨げる環境的な要因があることや覚醒を高める様々な要因が存在すると自然な睡眠構造をしっかりと構築することができず(徐波睡眠がしっかり出てこなかったり、段階1・2やといったNREM睡眠やREM睡眠の割合が増えたりする)、睡眠による回復感を得られなくなってしまいます。
「よい睡眠の位相」とは、「毎日の起床と入眠がいつも同じ時間である(睡眠の規則性:Sleep Regularity)」かつ「生体リズムにとっての眠気が高まっている時刻に入眠している(睡眠のタイミング:Sleep
Timing)」ということです。
生活習慣の乱れなどによって、眠気の高まっている時間に就寝できなかったり週末の寝だめなどによって毎日の就寝時刻や起床時刻がばらばらになってしまうと、同じ量の睡眠をとっても、睡眠が妨害されなくても、睡眠の恩恵が得られないことが指摘されています。後述のとおり睡眠−覚醒リズムを司る中枢の体内時計の他にも身体の至る所に末梢時計と呼ばれる時計が存在します(たとえば、腸管運動は体内時計にとっての朝に活発になるというリズムを持っています)。睡眠の位相に問題があると、糖や脂質の代謝の問題8)や機能性腸疾患9)などにもつながると考えられています。
なお、ヒトの場合、個人差はあるものの3歳以降は夜間睡眠1本のみの睡眠になると考えられています。生後すぐは、睡眠覚醒リズムが安定しておらず、一日の間に何度も睡眠と覚醒の切り替わりが起きます。しかしだんだんと切り替わりの回数が少なくなり、2歳頃には一日1回昼寝になりますが、3歳以降はおおむね夜間のみの一回の睡眠にまとまっていきます。
このことから、「ベストな睡眠」とは、「社会生活を営むために起床時刻から個人にとって必要な睡眠時間を逆算し、入眠時刻を決め、その時刻に入眠できるように就寝できるような生活を送ること、また睡眠を妨害するような環境的な要因を統制し、心身の健康を保てている状態」であると言えます。
就寝したらスムーズに睡眠モードに切り替わるために
自分にとってベストな睡眠を知って、設定した起床時刻から逆算し、入眠時刻を決めてもその時刻に睡眠モードに入れなければ、必要な睡眠時間が得られません。就寝(Go to Bed)と入眠(Sleep Onset)は別物です。入眠したい時刻に睡眠モードに切り替わるためには、当該の時刻に「眠気をが高まっていること」と「覚醒が低まっていること」が大事です(図5)。
眠気と覚醒は、対極にあるように考えられがちですが、「眠気が低いこと」と「覚醒が高いこと」はイコールではありません。眠気は、体内時計と頭の疲れの蓄積という2つの仕組みによって高まります。覚醒には、さまざまなタイプの覚醒がありそれぞれが高まる仕組みには共通する部分もありますが、それぞれによって高まる仕組みが異なります。以下では、それぞれの仕組みからどのような工夫をすればスムーズに眠れるかを考えてみましょう。
図5 睡眠モードの切り替えに関わる眠気と覚醒
(なお、睡眠は非常に複雑なシステムによって生じており、この図は非常に簡単にまとめていますので最近の知見を統合すると正確ではありませんが、睡眠について知らない人が理解しやすいようにまとめています。特に覚醒のシステムや覚醒の分類などに関しては、研究間でも定義やとらえ方が異なります)
・ 眠気を支える2つの仕組み(体内時計と頭の疲れ)
眠気とは、何かを定義づけることは難しいですが、「眠りたいという欲求そのもの」と考えてみるといいでしょう。眠気が高まっていると人間は睡眠モードに切り替わりやすくなります。眠気には、2種類がありそれぞれの機構によって影響を受けています(図6)。
1つが中枢の体内時計のリズムにより作られる眠気です。脳の松果体という部分には、中枢時計といって眠気をコントロールする機構があることが知られています。お昼の時間には、ヒトが活動しやすいように眠気を下げ、夜間には眠気が上がるように、この中枢の時計が眠りに関係するホルモン(メラトニンという情報を伝達する物質)をコントロールしています。このホルモンの分泌は約24時間周期で変動することからこうしたリズムは、サーカディアンリズム(概日リズム)と呼ばれています。
もう1つは頭の疲れによりつくられる眠気です。ヒトは起きている時に、モノを見たり、音を聞いたり、考え事をしたりと常に様々な情報を処理して、行動しています。こうした情報処理するためには、とてもエネルギーを使います。こうしてエネルギーを使うとその老廃物がたまっていって脳がスムーズに機能しなかったり、脳にダメージを与えてしまいます。そのため、エネルギーを使ってヒートアップした脳をクールダウンさせ、老廃物を外へ運んでいくことが必要になります。これは睡眠の役割の1つです。起きている時間に比例してこうした頭の疲れがたまっていってそれが眠気になっていきます
こうした体内時計のリズムによる眠気と頭の疲れによる眠気が重なって大きくなると、睡眠モードに切り替わりが起きます。
図6 眠気を司るCircadian(体内時計のリズム)とHomeostasis(頭の疲れの蓄積)
・ 覚醒維持機構
体内時計による眠気と頭の疲れの蓄積による眠気によって睡眠モードへの切り替わりが生じやすくなります。しかし、睡眠モードに切り替わるためには、もう一つの覚醒機構を考えなければなりません。ヒトの睡眠が眠気だけで引き起こされてしまうとすると、いざ覚醒していなければならない時(たとえば、自分の身に危険が迫っている時)に、眠ってしまうことによって個体の保存が危ぶまれてしまうという問題があります。そのため、眠気機構とは別に覚醒維持をしようというシステムがあります。このようなシステムによって、身体的覚醒や認知的覚醒(皮質の覚醒)、情動的覚醒などが生じて、睡眠モードに入ることを妨げられます。つまり、眠気と拮抗する覚醒(交感神経系の亢進やHPA系の亢進、心配や反芻、不安感など)とのバランスにより、モードの切り替わりが決まってきます。
・ 眠気と覚醒の仕組みから考えるスムーズな入眠のための過ごし方
上で述べたように、夜の眠りたい時刻に眠れるようになるためには、「当該時刻に体内時計と頭の疲れの2つの眠気が高まっていること、覚醒が低まっていること」が大事になってきます。
では、当該時刻に体内時計の眠気が高まるようにするにはどうしたらいいでしょうか?脳の松果体にある眠気リズムを司る中枢の体内時計は、24時間よりも少し長い周期でリズムを刻んでいます。この体内時計は、とりいれた外界の周期情報ををもとに、その周期を調整しています。こうした他の周期情報に体内時計が周期を併せていくことを同調といい、体内時計に影響する周期情報を持つ刺激を同調因子といいます。特に光は体内時計にとって重要な同調因子です。昼行性の動物であれば、光の周期情報(日照−日没の周期)に併せて、日中に生理機能が活性化し、日没後は生理機能が落ち着くことは、適応にとって重要です。体内時計の周期は光刺激、特に青色光(380〜500nmと短い波長の光)の影響を受けます注2)。こうした光が手がかりとなって、中枢時計の眠気リズム位相が前進したり後退したりします(リセットではなく!)。いつも一定の時刻で朝起きて夜眠る規則正しく生活している人であれば、朝に青色光を浴びると位相が前進し、夜に浴びると位相は交代します。このように、青色光を浴びる時間によって位相への影響が異なることは「位相反応曲線」によって説明されます(図7・図8)つまり、規則正しく朝起きて夜眠る生活をしている人の場合、朝の日の光は早く眠気をもたらしますが、一方夜遅くに青色光を浴びる生活をしていると体内時計の眠気が遠のいてしまうことになります注3)。
注2) 青色光の代表的なものは、日中の太陽の光です。晴れている日の空が青く見えるのは、波長の短い青色光
が大気中の微粒子に拡散されて私たちの目に入るから青く見えます。夕方になると、太陽光が目に届くま
でに大気を長く通るので波長の長い赤い光が目に届きます(夕焼けです)。このうち、自然のなかで日中
にのみ目に届く青色光の影響を受けるようにと中枢時計の調整の仕組みはうまくできています。
注3) 体内時計にとっての「朝」に光を浴びると位相は前進し、体内時計にとっての「夜」に光を浴びると位相
が後退します。例えば、長期に時間的手がかりのない光のない生活をしていて、昼夜が逆転している場合
や時差の大きなところに移動したりするとと、外の世界は朝であっても、体内時計としては夜ということ
があります。こうしたときに光を浴びると、朝の光でかえって位相が後退するということが起きます。
睡眠覚醒リズムに影響している刺激は光の他にもさまざまあります。たとえば、対人接触などの社会的刺激や末梢時計も睡眠覚醒リズムに影響していると言われています。特に、末梢時計の中でも腸管運動のリズムは、睡眠―覚醒リズムと互いに同調し合っている(互いに互いの位相と同期しようとし合っている)ことがわかっています。これらのことから、規則正しい生活を心がけ、朝日を浴びて、同じ時間に食事をし、日中の社会的交流を保つことが、昼と夜のメリハリをつけて夜間の体内時計の眠気を高めてくれると考えられます。
図7 ヒトの典型的な位相反応曲線(文献10)を参考に作成)
図8 位相反応曲線と光暴露による眠気リズムの位相変化イメージ
さて、もう一方の眠気、頭の疲れの眠気を高めるためにはどのようにしたらいいでしょうか?頭の疲れの眠気を高めるためには、連続覚醒しつづけ、頭をしっかり使っていくことが大事になります。そのため、日中に眠気を感じたときに仮眠などをせずに、連続覚醒を続け頭の疲れを夜間までにキープすることが重要です。3歳以下の小さい子どもの場合には、睡眠覚醒リズムがまだまだ確立していないので、お昼寝をすることは重要ですが、4歳以降の場合には、必要はなく、昼寝をすることでかえって夜間に眠れなくなり、「次の日の活動量の低下→昼寝→夜間眠れない」を繰り返してしまう可能性が指摘されています11)。しかしながら、4歳以降でも未就学児やご高齢の方の場合には、「覚醒を維持する機能」が不安定なので、日中に耐えがたい眠気を感じる事があります。こうした場合には、眠気を飛ばしつつ、睡眠覚醒リズムを乱さず、頭の疲れを解消しすぎない短時間昼寝(徐波睡眠にまで到達しない程度の15~20分の仮眠)をとることがよいでしょう。
体内時計のリズムによる眠気、頭の疲れによる眠気を夜に持ってくることができたら、次は、就寝時の覚醒を下げることが重要になります。夜間の覚醒水準を上げる原因として「5つのP」12)というものが指摘されています。5つのPとは、Physical(身体的:怪我・骨折による痛みなど)、Physiological(生理学的:交感神経やHPA系の亢進など)、Psychological(心理学的:対人関係での悩みなど)、Psychiatric(精神医学的:うつ病性障害や双極性障害など)Pharmacological(薬理学的:アルコールやカフェインなど)の頭文字をとったものです。こうした、5つのPが存在すると覚醒が高まりやすく(また中枢の体内時計の眠気にも影響)、睡眠モードへの移行が阻害されてしまいます。また、この他にも、強い光刺激や騒音、睡眠に適さない室温、湿度、同室就寝する他者の存在などの環境要因によっても覚醒が高まってしまいます。よい体調で悩み事を布団に持ち越さず、眠るのに適した環境を整えて布団に入るということが、スムーズな入眠かつ持続的で安定した睡眠をとるのに大事です。
まとめ:「よりよい睡眠」をとるために
それでは、これまでのことをまとめて「よりよい睡眠」をとる方法を考えてみましょう。
1.必要な睡眠時間を計算する
自分にとって必要な睡眠時間はどのくらいでしょうか?これは、図4に示した推奨睡眠時間が一つ参考になります。しかし、睡眠には個人差もある程度あります。そのため、可能であれば、何時に眠って、何時に起きて、どのくらいの睡眠時間であったかという睡眠日誌を2週間ほど書いてみるといいでしょう。2週間の睡眠日誌の平均の実睡眠時間(布団にいた時間ではなく、実際に眠っていた時間)は、個人の必要な睡眠時間の目安と経験的に考えられています。
2.起床時刻→入眠したい時刻を設定する
会社や学校にいくための起床時刻、大学生であれば一週間の中で一番早く起床をしなければならない時刻(たとえば1限に間に合う時刻)、などから起床時刻を設定します。そうしたら、1で設定をした時間を起床時刻から減じて、何時に「入眠(就床ではなく)」するかを決定します。
例えば、1で30代の男性の睡眠時間や自分の睡眠状況から考えて、7時間半くらいは睡眠をとろうと決定したとします。仕事に行くために6時半に起きる必要があるとすると、逆算して23時に入眠するということが決定されます。
3.1と2で設定した時刻に睡眠をとるようにしてみる
1と2で決定した時刻に睡眠がとれるように生活を実践してみます。23時に眠れるようにするためには、それ以前にまず布団に入ることが必要ですし、6時半に起きるようにするためにタイマーをかけたり、その時間に普段起きている家族に起こしてもらう約束をしたりします。これを毎日続けていくことがベストな睡眠をとることになります。
しかしながら、多くの人が「そんなことを言っても、残業で夜遅いときもあるし・・・」「いきなりそんな早い時間に眠れないよ」と思うでしょう。もちろん、これまで就寝起床が不規則な場合に、このような習慣に急にしようとしても困難でしょう。また、こうした習慣を目指すにあたっても努力をするポイントが筋違いだと、苦痛を感じたり、生活が窮屈になったりかえって眠れなかったりすることもあります。最初から完全に「ベストな睡眠」をとろうと意気込まず、コツコツ習慣作りをしようという意識が大事です(しかし、それほど長い道のりではありません!)。「よりよい睡眠」にしていくためには、大きく3つのポイントがあります。そして、この3つのポイントは、どれかだけでは不十分で3つを同時に意識することが重要です(そんなに難しいことではありません!)
○ よりよい睡眠に向かうための3つのポイント
(1)入眠予定時刻に眠れなかったとしても毎日同じ時刻に起床する
いざ、睡眠スケジュールをたてて、入眠予定時刻に眠ろうとしても、最初のうちは、その時間までに布団に入ることが難しかったり、布団に入っていてもなかなか眠りにつくことができないことがよくあります。そのような時には、一時的に睡眠時間が短くても、入眠・就寝時刻にこだわらず、予定した起床時刻に起きることが重要です。予定した時刻に起床し、日光を浴びて朝食をとり、中枢時計のリズムをつくることが大事です。ここで遅く起床してしまうと中枢時計のリズムがずれてしまいます。
(2)一過性に睡眠時間が短い日があっても、昼寝をせずにいつもと同様の生活を送る
(1)のポイントを意識すると、一時的に睡眠時間が短い日が出てきます。そのような日は日中も眠気を感じてしまい、活発に過ごしにくいでしょう。しかし、そのような時にもなるべく普段と同様に社会活動を行い、昼寝をしないことが重要です。昼寝をしてしまうと、中枢時計のリズムがずれるだけではなく、頭の疲れを一時的に解消してしまうことになり、その日の入眠がまた困難なものになってしまいます。
それでも、日中覚醒を維持する事が困難な場合や眠気によるふらつきなどで支障がある場合には、15-20分の短時間仮眠であればよいでしょう。その際には眠りに入る前にタイマーをかけ寝過ごさないことが重要です。しかし、実際に眠りにつくまでの時間は予想しにくく、寝過ごしてしまうこともよくあるので、短時間仮眠をしようとすることはあまりおすすめしません。
特に、この(1)と(2)の点は、社会的制約の少ない休日や祝日に忘れがちになるので、一貫して取り組むことが大事です。
(3)入眠予定時刻よりあまり早くに布団に入らず、ある程度眠りにつけなければ、布団から出る
とてもシンプルなことですが、「頑張って起きることは比較的可能だけれども、頑張って眠ることはできません」。眠気が高まっていないにもかかわらず、入眠予定時刻より早くから布団に入って「眠ろう眠ろう」とすると、かえって覚醒が強まり目がさえてしまいます。また、布団で覚醒が高まっている経験を繰り返すと、条件づけの原理によって、「布団=覚醒」という学習が強固になり、布団に入るだけで自然と覚醒が強まってしまいます。入眠予定時刻から15分くらい前に布団に入って、20分・30分と眠りにつけなければ、いったん布団や寝室から出て、穏やかな活動をして、眠くなってきたらまた布団に入ることにして、布団を眠れなくて苦しい場(欲求不満の場)にしないことが重要です。眠れないからといって、布団の上でスマートフォンをいじってみたり(液晶画面からのブルーライトも睡眠を遠ざけます)、TVを見たりすることも、一時的な欲求不満解消になりますが「布団=覚醒」をより強固なものにしてしまいます。「布団は眠るための場所」「眠れなければ布団から出る」を意識するといいでしょう。
こうすると、やはり一時的に睡眠時間は短くなりますが、次の日も(1)と(2)を守ることを続けていると、次の日の夜はもっと眠りモードに入ることが容易になります。
Behavioral Sleep Medicineとは?
上で述べてきたように、睡眠は休息だけではなく積極的に生きることを支えてくれる大切なものです。しかしながら、社会の24時間化・情報化・高ストレス化が進んでいる現代の社会において、睡眠の「量」「質」「位相」をいい状態に保つことは難しくなっており、さまざまな睡眠問題が増加しているとされています。また、現代の健康問題も、概して、感染症などの明確な病因への暴露によって起こるものから、環境とヒトとの相互作用の在り方がその発生・維持・悪化に密接に関連するものへとシフトしていっています。このような中、行動医学(心理学・行動科学の知識と技術を疾病の治療および健康の保持・増進に役立てる、心理・行動科学と医学生物学を統合した学際的学問領域)の果たす役割が重要になってきます。特に、睡眠の問題や睡眠障害をターゲットに行動医学的な研究とそれに基づく治療・支援を推進する分野は、Behavioral
Sleep Medicineと呼ばれています。
Society of Behavioral Sleep Medicineは以下のように、Behavioral Sleep Medicineを定義しています13)。
睡眠行動医学(Behavioral Sleep Medicine)とは、
「生涯発達における正常な睡眠や障害された睡眠の背景にある行動的・心理的・生理的要因に関する
研究と、睡眠障害や睡眠障害が併存する他の障害に対する実証に基づいた行動的・心理的な予防法と
治療法の開発および臨床実践とを包括する研究分野ないしは診療科である。」
具体的には、不眠(不眠障害)に対する認知行動療法に関する研究およびその実践、閉塞性睡眠時無呼吸症候群のCPAPアドヒアランスの関連要因と支援に関する研究、交替勤務制睡眠障害患者における夜勤明けの過ごし方に関する研究、思春期の睡眠相後退の理解と学校保健活動の在り方に関する研究など多岐に渡ります。上述の睡眠に関する解説やいい睡眠をとるための方法も睡眠行動医学の知見に基づいた解説ということになるでしょう。
具体例として、不眠に対する認知行動療法について、以下に簡単に紹介します。
不眠に対する認知行動療法
「不眠」をどのように定義するのかは、非常に難しい問題ですが、(1)睡眠効率(布団の中にいる時間の内の実際に眠っている時間の割合)が悪いこと、(2)主観的な睡眠の質が悪いこと(眠っても回復感がない)、(3)日中の機能低下があること(やる気がでない。眠気がある)の3つの存在が重要になります。睡眠効率の悪さのタイプから「不眠」は、主に入眠困難(なかなか寝付けない)、中途覚醒(途中で目がさめてしまう)、早朝覚醒(朝早く目が覚めてしまう)に分類されています。
不眠は誰しもが人生の中で何回か経験したり、数日続くこともあります(一過性症状としての「不眠」)が、これが数ヶ月の間で高い頻度で生じており、生活や健康に支障が出ている状態が「不眠障害」になります。不眠は、様々な要因によって発生・維持・悪化します。不眠が長く続くと、Quality
of Lifeの低下が生じるだけでなく、睡眠の積極的な恩恵が受けられないことになりますから、うつ病14)や心臓疾患15)・糖尿病16)の発症や遷延化につながります。
不眠を改善するためには、まずは発生・維持・悪化に寄与している要因を特定して、その要因にアプローチをしていくことが大事になってきます。つまり、不眠の背景に基礎疾患や明確な要因がある場合には、その治療や生活の見直しが重要になってきます。上述のように、まずは生活習慣や睡眠環境、背景疾患といった点を明確にし、眠気や覚醒の点からどこに問題があるのかを特定し、その改善を行うことが必要になってきます。しかしながら、不眠を直接的に説明する背景が改善されたとしても、不眠は維持されてしまうことも少なくありません。これは、学習理論により説明することができます。
初めは、夜間に覚醒が高まるするような何らかの原因(例えば、仕事が忙しかった、悩み事があった、風邪を引いていたなど)があり、眠ろうとしても眠れなかったり、途中で目が覚めてしまった。このような日が、偶然続いてしまうと、原因がなくなった後でも、(学習の原理によって)「布団に入るだけで覚醒が高まる」という癖ができてしまいます。このような学習が成立すると、「布団に入るだけでいやな気持ちになったり」(情動)・「今日も眠れないんじゃないかと心配になったり」(認知)・「眠れるようにさまざまな努力をしたり」(行動)するようになります。そうなってくると、不快感を意識をすると何とかしようとするし、意識したり何とかしようとすればするほど覚醒していくし、覚醒すると気になるし・・・と悪循環をしていって、このような問題は維持・悪化していきます(就寝環境=覚醒する場所・不快な場所・ネガティブな考えが起きる場所という学習の成立)
つまり、慢性化して不眠の問題は認知・行動・情動・生理の4機能の相互作用としてとらえることができます(図9)。そのため、実際の臨床ではこの4機能と学習によるそれらの結びつきをアセスメントしてこの相互作用の悪循環を断つことが重要になっていきます。
図9 不眠における認知・行動・情動・生理の悪循環
(理論的な部分の詳細は引用文献や参考文献などを参照してください)
・ 認知行動療法による認知・行動・情動・生理の悪循環を断つための具体的アプローチ注4)
上述の不眠の理解をもとに様々なアプローチの方法が提案されています。不眠症の認知行動療法では、不眠の方の苦悩を分析して、以下のようなアプローチを参考にそのひとに合った形の援助を提供します。
刺激統制法(Stimulus Control)17)
寝床で眠れない時間を過ごさないようにするため(就寝環境=覚醒する場所と学習しないように)「寝室を睡眠以外に使用しないように」教示します。
睡眠制限法(Sleep Restriction)18)
睡眠効率が上がるように、「あえて就寝時間を遅らせて、布団に入ったらすぐ眠るように」(就寝環境=眠る場所と再学習するように)教示します。
睡眠衛生教育(Sleep Hygine Education)19), 20)
夜間の覚醒水準を低下させるような生活の習慣(カフェインやニコチン摂取、入浴の時間やタイミング、眠りに適しているとされる就寝環境づくりなど)を教示します。
リラクセーション(Relaxation)
覚醒と拮抗する(同時に生じない)リラックスした状態を作るように、各種リラクセーション法(漸進的筋弛緩法や呼吸法など)を日中練習し、寝床でも行うように教示します。
逆説的志向(Paradoxical Intention)21)
眠ろうと努力するとかえって、覚醒水準が上がり眠れなくなってしまうので、敢えて「眠らないように」努力をしてみようという方法(眠らないようにすることで、覚醒水準を上げる眠るための努力をしなくなる)です。
認知的再体制化(Cognitive Reconstructuring)22)
まずは、「眠らないと・・・なことになってしまう」「睡眠はとても重要で…」という睡眠に対する考え方を援助者と一緒に検証をし、睡眠に対するあまり機能的でない(得をしてないない)考え方に気づくという方法です。
行動実験(Behavioral Experiment)23)
主観的な睡眠の状態は、起床後に振り返って評価をされます。不眠症の方の中には自分の睡眠を過小評価していて過度に自分の睡眠が悪かったと思っている人が多いため、睡眠検査と自己評価を比べて評価の仕方を顧みます。
認知的統制法(Cognitive Contorol)22)
不眠の人は、寝床が自分の睡眠や心配ごとなどを考える場になっている人が少なくありません。認知的統制法は刺激統制法と似たもので、「就寝環境=考える場(覚醒する場)」という学習を解除するために、考え事などは就寝時間以外に整理をして、寝室は眠る場所にするよう教示します(夜寝床で考えてもあまり建設的ではない)。
思考妨害法(Thought Blocking)22)
ネガティブな考え事を抑えるのに、「考えないようにしよう」というのはかえって逆効果であることが知られています。考え事をやめるのではなく、無意味なことで頭をいっぱいにすることで、相対的にネガティブな考えが出てこないようにして覚醒水準を下げる方法です。(海外などではTheを繰り返し想起する方法などがあります。)
マインドフルネス認知療法(Mindfulness Based Cognitive Therapy)24)
マインドフルネスとは「いま・ここでの自身の状態や認知を無評価的な立場から気づきを向け、あるがままに知覚する」という態度(こころの持ち方)のことを言いますが、考え事を変容させたり、増減させたりするのでなく、考え事に振り回されないような態度を身につけようという方法で、様々なやりかたがあります。
注4) 各アプローチには重複するところもありますし、視点によって分け方や呼び方も異なります。どれかが効
く・効かないというものでは視点ではなく不眠の特徴に援助を合わせることが重要です。実際の臨床の場
面では、こういった発想を参考にその人に合った援助を考えます。各アプローチの引用は、最も早期に発
表されたと思われるものにしています。なお、睡眠衛生教育は疫学研究の進展とともに内容が増えたり修
正されたりしています。
引用文献
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