斗鬼正一研究業績
新潟県津南町研究


「道と空間的・社会的定位−ユキミチを事例として−」

1982(昭和57)2
『明治大学大学院紀要』19集、明治大学

概要
 人間には自分の住んでいる地点、生活の展開する空間の空間的定位、自分、家族等が何者であるかという社会的定位を確認し、空間的、社会的環境の変動のなかでも維持していくことが不可欠である。本稿では通例の所与の道とはまったく異なり、人々が自由に踏んでいくことができ、ムラとムラ、住居と住居の順序、距離、方角等を自由に設定することができるユキミチの事例から、いかに空間的・社会的定位が確保されているかを示した。
 p.33p.48(全549ページ)



「道の物質文化論III−新潟県津南町見玉に於ける道案内を事例として−」

1981(昭和56)2
『明治大学大学院紀要』18集、明治大学

概要
 人間の生存にはエネルギー、情報、「もの」等が不可欠で、そのためには空間的移動が必要となる。これを可能にするのが道であり、道を有効に使用するためにソフトウエアとしての道案内が用意される。道案内設定範囲、ランドマーク、方位、地名、距離、所要時間、周囲のムラや住居の指示名称等,文化によって用意され、公式化された道案内の事例を取り上げ、単なる道案内を超えて、社会構造維持にまで使用されている様を示した。
 p.19p.32(全458ページ)



「道の物質文化論II−新潟県津南町見玉に於ける物質文化の導入・配置・廃棄を事例として−」

1980(昭和55)2
『明治大学大学院紀要』17集、明治大学

概要
 生活の理解には「もの」との関わりの理解が不可欠である。そこで衣服、履物の購入先、住居空間内への配置、行き先別使い分け、古くなるにつれての転用、配置の変更、掃除、廃棄物処理に伴う移動、給排水の経路等、空間と関連した事例による「もの」の移動の道を検討し、「もの」は決して身体保護、食用といった通例考えられる機能だけでなく、多くの意味的機能を評価され、利用されていることを示した。
 p.93p.108(全476ページ)



道路の物質文化論−新潟県津南町見玉のホンドウリを事例として−」

1978(昭和53)12
『明治大学大学院紀要』16集、明治大学

概要
 生活における人とものの関わりがますます複雑化する現代社会の問題を理解し、解決への道を探るために、即物的技術論中心の従来の物質文化論から、ものを作り、使用する人々の価値観、意味の世界の探求を目指す新しい物質文化論への変革を展望した。事例は、ホンドウリと呼ばれる特定の道路網であり、道路が単なる交通手段ではなく、意味的機能を評価され、使用されていることを示した。
 p.1p.16(全426ページ)



「空間に関する事例研究−場の設定と物質文化−」

1975(昭和50)3月、明治大学修士論文

概要
 新潟県津南町見玉を事例として、住居、ムラの空間的切り取り方、境界の付け方、さらにその中への客、室内農作業等の受け入れ方、排水、鳥追い等の廃棄の仕方等を検討、住居ムラ,周囲の空間の中に、いかにして人々の価値観、意味空間が投影され「ウチ」とされる場が設定されているか、それに際し物質文化にどのような機能が評価され使用されているかを示した。
 
p.1p.352(全352ページ)