江戸川の魚と葛西臨海水族園

9811036  風見 美子

 
                  
〈江戸川でとれた魚〉
 江戸川には多くの魚が生息している。昔に比べるとその種類も減っている。葛西が埋め立て地になる前までは海岸がすぐそばにあったため、もっとたくさんの魚が生息していた。代表的なものはふな、こい、しじみである。こいは上流から30匹も流れてくることもあった。その頃は、遊び感覚で魚をとっては食べていた。9月をすぎるとはぜがよくとれた。1時間で150〜200匹はとれた。他にも、たなごやせいご、いなご、ぼら、すずき、えび、うなぎ、をとっては食べていた。
 現在でも魚は生息しているが、川は汚れてしまったためとって食べることは少なくなった。


〈江戸川に生息する魚の変化〉
  川の汚染により自然の魚の減少
      ↓
  外来の魚を入れ種類を増やす
      ↓ 生態系の変化
  さらに川の汚染により魚の減少
      ↓
  自然の魚を再現するために葛西臨海水族園ができる

 〈葛西臨海水族園ができる前〉
 葛西は古くから漁村として賑わい、冬場は「葛西ノリ」、夏場はあさり、ハマグリなど江戸前の魚等が水揚げされていた。
 また、都民にとっては、春は潮干狩り、夏は海水浴、秋はハゼ釣り等絶好のレクリエーションの場であった。さらに三枚洲と呼ばれる遠浅の海が3キロメートルにもわたって広がり渡り鳥が群れをなして渡ってきていた。ここにおいては、自然との共生が成されていた。
 しかし、昭和30年代になると、海岸堤防が構築されたり、埋め立てや海域の汚れ等により、自然豊かな葛西沖も変わっていった。
 この失われた自然の海をいかにしてとり戻すことが考えられた。そこで葛西臨海公園が計画された。その臨海公園の中に水族館を建設する構想が生まれた。


〈葛西臨海水族園設立の背景〉
 東京都は、マイタウン東京長期計画の〈水と緑〉を増やしていく施策のなかで臨海部の建設を計画した。この計画は恩賜上野動物園の開園百周年記念事業でもあり、東京都の水族館の伝統を踏まえたものであった。

〈臨海地区に水族園を設立する必要性〉
1、 海浜レクリエーション施設としての必要性
 東京都は埋め立て地を利用して臨海公園や海上公園を整備し、都民が海の自然にふれることのできる海辺のレクリエーション施設づくりを進めている。水族館は恰好の施設であり、、都民の需要に十分応えるものである。
2、 潜在需要からの必要性
 水族館は毎年のように新設されているが、既存の水族館の入館者は減少していない。東京周辺の水族館の入館者は全体として増加の傾向にあり、潜在需要はかなり高い。
3、 東京都による施設の偏在是正の必要性
 東京都は23区の中央部に上野動物園、23区と郊外の接点に井の頭自然文化園、また多摩動物公園があり、その他の施設をみても西に偏在することから、東部地域の潜在需要を満たす必要がある。
4、 上野動物水族館の老朽化
 総合動物園の一施設として上野動物園水族館の評価はあるが、経年で建物の老朽化に加えて、新しい展示傾向に対応出来ない状態になっている。

〈展示動物の範囲〉
 東京湾から、伊豆諸島、小笠原諸島、に及ぶ海の生物を幅広く収集し、分類展示ではなく生息環境別に配置し、動きのある群れ展示を多くするとしている。
しかし、すぐ近くには東京湾があり、そこに生息する生物を再現するはずが、範囲が広くなり、すべてが人工的になってしまっている。

〈海と人との交流の場としての水族園〉
 今日、人々はなおも野生生物に接近することを望んでいる。そのため、動物園や水族館が野生生物にめぐりあえる唯一の場となりつつある。さらに、人々は、動物園や水族館の野生生物がより自然に近い環境の中でのびのびと自然に近い姿で生活している姿を見ることを望んでいる。こうした、水族館のようなレクリエーション機能の高い自然教育の施設への都市住民の需要が増大するのに対応したものである。
 水族園は、水界の自然を水槽内に再現し、自然に対するあこがれや自然を護ろうとする機運に応えている。そして、人々の海洋への関心を高め、楽しみながら海への自然の認識や科学的認識の培われる「海と人との交流の場」となるものである。
 しかし、そのために人々が観察したいと思うような生物ばかりが水族館に展示されてしまっているように思う。昔は当たり前にいた魚などは展示されず、珍しい魚などが展示されている。身近な魚は水族園にはあまりいなく、人間によってつくられたものというように感じる。

〈葛西臨海水族園を調査して思ったこと〉
 このような、人工の自然である水族園でなければ見ることの出来ない水辺の生物がたくさん生息している。また、作られた自然のため、きれいで安心して見ることができる。そのため葛西臨海水族園は人気があるのだと感じた。また、すぐ目の前には本当の海がある。潮風にあたり、海を見ながら水族園に入っていくと実際に海の中に入っていくように感じる。臨海地区に水族園を設立するには利点であると思う。
 しかし、本当の海があるにもかかわらず、他の海から採集してきた生物を展示し、つくられた自然になってしまっている。以前の葛西では、自然が豊かで自然と共に生活していた。それを再現するためにつくられた水族園だったはずなのに、まったく人工的になってしまっている。
 
〈江戸川に生息する外来の魚〉
・ アオウオ
体長100〜180cm。1943年より中国から移入され、利根川水系でのみ繁殖。江戸川のものは巨大。

・ イエローブルヘッド[アメリカナマズ属]あめりかなまず科
体長20〜40cm。北アメリカ東部に分布。河川の緩流域や湖沼などの水草の繁茂した静水生息。底生性。釣り魚、商業価値も高い。美味。

・ チャネルキャットフィッシュ[アメリカナマズ属]あめりかなまず科
 体長1.2m。北アメリカに分布。きれいな流れを好むが湖沼にも生息。底生 
 性。釣り魚として人気。美味。商業価値が高く日本でも一部養殖されている。  
 若魚は鑑賞用になる。

・オオクチバス
 体長25〜35cm。北アメリカ原産。1925年に日本に移入。釣り対象魚だが、  
 他の魚貝を食害する。江戸川での勝手な放流は慎みたい魚。

・ カダヤシ
体長オス2〜3cm、メス3〜5cm。米国南部原産、本州以南の各地に分布。主に止水域に生息。汽水域にも生息可能。動物プランクトン、水生小動物を好む。蚊の駆除を目的に移植された。

・ カムルチー(ライギョ)
体長45〜80cm。アジア大陸東部原産。1923年ごろ日本に移入。小魚やカエルを食べる。

・ コクレン
体長1m。原産地は中国大陸中部・南部。1943年に日本に移入され利根川、江戸川でのみ繁殖している。プランクトンを食べる。

・ タイリクバナタナゴ
体長7〜10cm。アジア大陸東部産。ソウギョなどと共に日本に入り、関東を中心に増えている。二枚貝に産卵する。

・ ハクレン
体長60〜110cm。中国では食用。明治期から移入されたが、1943年に利根川に放流されたものの自然繁殖が確認された。植物プランクトンを食べる。

・ ブルーギル
体長15cm。北アメリカ南東部原産。南日本の湖沼、河川に生息。また、ヨーロッパ、南アフリカにに分布。

〈感想〉
 江戸川自体が人工の川であるが、生息している魚も人工的にもち込まれたものが多いことがわかった。思っていた以上に外来の魚が多いことに驚かされた。
 また、誰かが勝手に江戸川に放流し、繁殖してしまった魚も生息している。このような事は、江戸川の魚の生態系を変えてしまうことになり、川の汚染原因になり兼ねない。勝手な放流は迷惑である。
 このように江戸川には数多くの魚が生息しているが、釣って食べるというより、釣り自体をほとんどの人は楽しんでいる。川の汚染が進み、いくら食べられる魚を釣っても食べる気にはならないようである。
〈参考資料〉
『葛西臨海の公園と水族園』 清水政雄編
東京都公園協会 東京都公園文庫 1996年発行
『原色魚類大図鑑』  監修 阿部宗明  北隆館