斗鬼正一研究業績
江戸・東京の都市人類学的研究

「都市というパラドックス−江戸の都市空間と人−」
2011年3月
『情報と社会』第21号、江戸川大学

概要

p185-199(全410ページ

「東京というコスモスと海−都市と海のコミュニケーション−」

2007(平成19)年3月15日
『情報と社会』第17号、江戸川大学

概要

p9-23


「江戸・東京の身体論」

2005(平成17)年2月
『情報と社会』第15号、江戸川大学

概要
 江戸・東京という、実は空間的にその存在が明確でない都市のアイデンティティを、身体論的視点から考察。
 行政、地理、地名、飛び地といった一般的視点にとどまらず、都市の象徴的門、都市の中の異国、風景や地名のうつし、他界、異界との象徴的境界等多様な境界を明らかにし、さらにそうした境界的空間への、穢れの排除と差別の歴史をたどることによって、アイデンティティの面でも変動の激しい江戸・東京という都市の本質的理解を目指した。

p111-124(全180ページ)


「富士山パワーをもらおう」

2004(平成16)年12月
江戸川大学土器屋由紀子ゼミ編、『変わる富士山測候所』、春風社

概要


「海をうつす 海と江戸・東京の都市人類学」

2004(平成16)年3月
『東京湾学会誌』2巻2号、東京湾学会

概要
 海を都市空間の中にコピーしてしまう、池泉、砂場、水族館、釣堀、プール、銭湯といった、海の「うつし」を事例として、文化と自然のかかわりを検討。
 一方で海という自然を統制し、他方でその力を都市に、文化に、取り込もうとする人というものの理解をめざす。

p68−77(全106ページ)


「鉄道という異文化と日本」

2004(平成16)年月2月
『情報と社会』第14号、江戸川大学

概要
 鉄道は、交通に大変革をもたらしただけでなく、交通手段であることを越えて、新たな空間関係を創り出し、
人々の視線、空間認識にまで大きな影響を与え、大きな文化変容をももたらした。
 異文化として導入された鉄道が、なぜそうした、社会、文化を大きく変容させる力を持ち得たのかを、他方で
鉄道が人々によって、畏怖、嫌悪の対象ともされたことに注目して検討した。

p13-23(全76ページ)


「江戸・東京と水辺の遊興空間」
2003(平成15)3
『東京湾学会誌』2巻1号、東京湾学会

概要
 遊興空間がなぜ水辺に集まるのかを、江戸・東京の事例により検討。自然に対抗して作り上げた都市という文化によって、自らがんじがらめにされた人々が、異文化、他界、超自然、そして自然への擬似回帰による再活性化を可能にする仕掛けとして作り上げたのが遊興空間であり、水辺こそがそれにふさわしい場として選択されていることを示した。

p30〜p38(全46ページ)


「花見から見た都市、江戸・東京」
2003(平成15)2
『情報と社会』13号、江戸川大学

概要
 江戸・東京を事例に、花見という文化の仕掛けを考察し、さらには都市というもの、それを作り出した人というものの姿を示そうと試みた。
 花見の名所の空間的特徴が、都市と田園との境界的空間、山、寺社、墓地、水辺という日常空間との境界的空間であること、花見の宴の場が、屋外の、仮構的な、境界の曖昧な空間であること、宴の特徴が、非日常的振る舞い、酩酊、喧嘩、時間無視、変身、性的自由であることを指摘した。
 それはすなわち、文化によって統制された空間や、文化による人々への統制から逸脱し、他方で自然の生命力に触れ、死への接近、復活による擬似的再生を可能にするものであり、花見が、自ら作り出した都市と、そこでの生活という文化の枠組みの中で、活力、生命力を失っていく人々が、自ら再活性化するために作り出した文化の仕掛けであることを示した。

p57〜p67(全123ページ)



「江戸・東京と富士山−都市人類学的考察−」
2002(平成14)2
『情報と社会』12江戸川大学

概要
 自然を排除した大都市江戸・東京は、他方で、「富士憑きの都市」と言われる。地名、都市計画、富士山形建築、庭園や遊園地などの人工富士山、銭湯のペンキ絵の富士山、富士山を食べる食品、といった「うつし」の事例と、富士の仙薬、富士講など富士山を信仰の対象とする宗教の事例から、自然を排除しつつも、自然の力を取り込む仕掛けを準備した、日本的都市の姿を明らかにした。

10-109(全211ページ)



「都市にうつした海−銭湯の都市人類学−」
2001(平成13)11
『東京湾学会誌』15号、東京湾学会

概要
 東京の銭湯の特徴である、山(富士山)と水(海、湖、川)という自然をうつした背景画、海のうつしである湯船、海水湯などを擬似自然、寺・霊柩車・仏壇と類似した宮造り建築などを擬似他界としてとらえ、ケガレを払う仕掛け、裸と性という文化からの一時離脱による再活性化の仕掛け、山入りの代替として自然のエネルギーを取り入れる仕掛け、死と再生を擬似体験させて生命力を取り戻す仕掛けとして作り上げた銭湯の文化的意味を考察した。さらに、都市という自然を排除、統制した空間で、文化に統制されることによる活力枯渇に、再び自然を統制した形で導入する日本文化、日本の都市というものの姿を浮き彫りにした。
145−p152(全 ページ)



「トマソンの都市人類学−「変なもの」から見た都市−」

2001(平成13)2
『情報と社会』11号、江戸川大学

概要
 塀が無いのに門だけがある「無用門」、山が無くコンクリートの枠だけ存在する「無用トンネル」、路上に置かれ植木鉢代わりに使われている便器、踊り場が無く開けたら転落するしかない高所の扉、といった都市空間に発生する「変なもの」を考察。無機能なもの、機能・空間・物の分類を犯すものが排除され、すべてが分類、評価され、対応行動が決定されてしまっている、文化によって意図されたものとしての都市空間の本質を探った。
115−p118(全199ページ)



 「埋め立て地から見る都市」
2000(平成12)12
『東京湾学会誌』14号、東京湾学会

概要
 波動、ゼロメートル地帯の例からも明らかなように、文化の産物である都市空間と自然の海の境界は本来不明確である。しかし都市は文化による自然の徹底排除、統制が不可欠である。そこで東京湾埋め立て地を事例に、物理的、文化的にどう自然から切り取られ、維持されているのか、都市で内部発生する自然の排除にどう利用されているのかを検討することによって、人間の作り上げた最大の文化である都市とは何かを考察した。



「江戸・東京の都市空間と動植物−都市人類学的考察−」1996(平成8)2
『情報と社会』6江戸川大学

概要
 文化の自然に対する支配を貫徹しようとして、文化が作上げた江戸・東京の都市空間において、食料、材料、案玩、鑑賞などの為に、動物、植物がどのように導入され、また統制なしに侵入した動物、植物がどのように扱われるかを、事例を用いて検討した。それを通して、自然を統制するために成立する文化、それによって作られた都市空間、そして文化を作り上げた、本来動物であるヒトの本質的理解を目指した。
p.57p.75(全160ページ)



「佃島の地名−江戸・東京ウォーターフロントの事例−」
1993(平成5)11
『東京湾の歴史』高橋在久編,沼田真監修、高橋覚、筑紫敏夫、綿貫啓一、大谷貞夫、平野馨、仁科又亮、田村勇、川名興、森田保、小林梅次、中嶋清一、佐藤毅、中山吉秀、高橋克共著第3章6、P148P157、(全237ページ)、築地書館

概要
 佃島、三河町、出雲町、八丁堀といった江戸・東京の東漸地名や、縮景庭園、富士塚、別院、出開帳など、首都の都市空間に見られる国土空間の様々なミニチュアを事例に、文化が国土空間を読みとり、認識し、我がものとするために設定した様々な意味的機能を検討した。



「都市「地図」と都市像の情報文化論−東京銘菓の事例−」
1992(平成4)3
『情報と社会』第2号、江戸川大学

概要

 文化要素には都市空間を分類、評価し、対応行動を記した「地図」が含まれる。本稿では東京の銘菓を事例に、ハード(意匠,包装,原材料等)ソフト(売られかた、買われかた、使われかた等)両面を検討、社会が東京、東京圏という環境をどの様に分類、評価し、この「地図」情報の伝達に銘菓をどう利用しているかを示した。
p.75p.90(全154ページ)



書評『幕末日本探訪記 江戸と北京』、ロバート・フォーチュン著、三宅馨訳
講談社学術文庫1997