幕の内的空間のコンビニはいわば発想ステーション


 斗鬼正一さん
(江戸川大学教授)
  日常生活を都市人類学的に考察。主著『目からウロコの文化人類学入門』


 アメリ力生まれのコンビ二ですが、実は非常に日本的な空間です。ディズニーランドもそうですが、日本庭園を代表する回遊式庭園と同じ仕掛けなのです。さまざまなものを縮小して並べて、人々の動きや視線をコントロールし、これを見たらこう感動する、ということまで仕掛けている。

同時に、コンビニは小さな空間に季節感の演出、新しい情報などさまざまなものが詰め込まれた「幕の内的空間」でもある。新入社員はつい生活もワンバターンになりがちで、そうなると新しいアイデアも浮かんでこない。手軽に新しいものと出合えるコンビ二は、刺激を与えてくれる、いわば発想ステーションです。

しかし一方で、便利さを追求するあまりコミュニケーションを失わせてしまったという面もあります。仕掛けに乗せられて黙つて物を買うのでなく、自分の価値観に基づいて主体的に利用できれば面白い空間なのですが。

 『ダカーポ』511号、2003年4月2日、マガジンハウス刊