応用社会学科4年 斗鬼ゼミ 熊野耕資
矢切りの渡し 〜 はじめに 〜
僕の所属しているゼミは、文化人類学というゼミです。
文化人類学とはその名のとうり、人が創りあげた文化を学ぶ学問だと思っていました。
文化とは人が創り、そして受け継がれるうちに普遍性を持ったもの、それが文化だと思います。
文化とは遺跡や史跡などにとどまらず、人が創りあげる工芸品も文化だと思います。
そしてそれらを創る人、伝来の技を守り、伝えていく人、職人。これもまた同じように文化だと思います。
また、技術を編み出し、それを身につけ、文化をその身に体現する人。
そういった人もまさに文化そのものなのだと思います。
遺跡や史跡、貴重な発掘物などといった形のある物は、博物館を作り、額に入れて、
補助金つきで保護するのに、人に対してははっきり言ってほとんど評価していない。
人間国宝というのもありますがその範囲はあまりに狭く、評価も伝統というものに不自然なほど縛られ片寄っている気がしてなりません。
今回僕がテーマとして取り上げ、研究した『矢切りの渡し』というもの、
江戸時代から続く歴史、受け継がれてきた伝統、機械全盛の時代にオール一本で乗客を対岸まで運ぶという普遍性。
すべてにおいて文化という言葉が当てはまると思いますし、これからも後世に残していくべき価値のある遺産だとも思います。